長崎の飯田直樹法律事務所

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遺言作成

<遺言について>

遺言(いごん、ゆいごん)は、個人の生前における最終的な意思をその死後に実現するための方法といえます。
自分が亡くなった後のことについて、何の心配もなく、この世を去れれば幸せなことでしょう。
しかし、人は、子供や妻の将来、遺産の分配、事業の後継者問題など、様々な心配を残したまま亡くなる方が大半です。そのため,これらの問題について少しでも配慮しておきたいと考える方が多いといえましょう。 そのためには、あらかじめ自分の意思を明確に表明しておき,死後にその意思のとおりに実現されるようにしておけば,安心して亡くなっていくことができます。
人は自分の死後のことは、あとに残された人に任せる以外ありません。その任せ方を指示するための方法が遺言といえます。

<遺言の必要性について>

まず第1に、遺言をしておかないと、遺産について相続する権利があるとされるすべての相続人(法律上は相続に関係がない「相続人の配偶者」が関与してくることも多い)から権利主張が行われて、親族間で骨肉の争いが起こりかねません。
戦前は家督相続といって、長男が全財産を相続するというのが原則でしたので、相続争いというものは基本的にはほとんどありませんでしたが、戦後、家督相続の制度が無くなり共同相続となると、遺言がないと遺産分割協議をしなければならなくなりました。そこで取り分の調整ができないと、相続人間の争いに発展することになります。遺産分割はお金の問題である上、亡くなった方(被相続人)への思い、生前の被相続人に対する寄与など感情面がからむことも多く、なかなか意見の調整がつかないのです。
このような紛争を未然に予防するために遺言を書いておく理由があります。遺言が相続人を絶対的に拘束することはできませんが、相続人は少なくとも遺言者の意思を知ることができ、これを尊重することになりますから、紛争をかなりの程度防ぐことができます。
 
第2に、法律で規定された相続分ではなく、自分の思い通りに遺産を分割できます。 民法には被相続人の遺産を、親族のどの範囲に、どのような割合で配分するかが規定されています。 一生かけて苦労して築き上げてきた財産、先祖代々引き継がれてきた財産が、まったく望みもしない形で思いも寄らない人物に分配されてしまっては、残念なことです。
また、民法には具体的な財産の分け方までは規定されていません。従って、遺言で具体的な遺産の分け方まで明記しておけば、相続人が悩むケースも少なくなります。
民法の定めと異なる遺産分割を望むときは、誰にどのように分配するかを指定した遺言を書いておくことになります。
とくに、もともと相続権の無い内縁の妻(夫)や、配偶者の連れ子、亡くなった長男の嫁などに遺産を遺したいというようなときには、遺言を作っておかないと、相続人が、その人たちにも分配するような内容の遺産分割協議をしてくれない限り、いっさい財産がいかないことになります。
また、相続人の誰かを相続人にしたくない場合(廃除といいます)、子供を認知したい場合(死後認知)なども遺言を書いておく必要があります。

<遺言の作成について>

自分には財産も無けらば隠し子もいない、相続人も皆仲が良いので、遺言なんか書く必要はない、と考えて遺言を作成しない方もいます。
しかし、財産は無いと言いながら、預貯金を集めてみると相当の額になったり、生命保険、退職金、タンスの中に眠っていた有価証券、先祖代々伝わる骨董品など、財産として認識できるケースは多くあります。 また法律に従って分けてもらえればいいとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、民法に規定されているのは割合だけです。
民法に規定されている遺産分割の基準は、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」(民法906条)とされているだけです。
従って、遺産が金銭だけでなく何種類もあるような場合、誰がどの財産をどのように分けるのかについては、明確に規定されているわけではないのです。
いったん遺産争いが始まると、それまで仲が良かった親族間の関係が険悪になって大切な家族の絆が失われ、その後は音信不通にまでなってしまうというケースも珍しいことではありません。
遺言があれば、分け方の基準が示され、不満が多少あっても相続人はある程度その遺言に従わざるをえず、骨肉の争いにまで発展することは少ないでしょう。自分の死後、残された人に少しでも嫌な思いをさせないためにも遺言を作成しておくことが必要です。
遺言は、自分のためというより、残された家族のためにするものと言われています。

<遺言を書いておくべき場合>

①特定の子供に介護、援助をうけている場合
老後、世話になっている子供に少しでも多く相続させたいと思うことは自然なことですが、遺言がなければ、遺産は子供たちにそれこそ平等に分割されてしまいます。確かに、寄与分というものが認められる可能性はありますが、要件が厳しいため、実際の介護に費やす時間・費用・労力と比べると十分ではありませんし、実際上、生前は寄り付きもしなかった相続人が強硬に相続権を主張してくることが多いのも事実です。ですから、このような場合は、やはり、遺言書によって明確に意思を示しておきましょう。
 
②子供がいない場合
遺言を作成しておかなければ争いになる場合が多いです。 子供がいなければ、親が亡くなっていることが多いので、兄弟姉妹が相続人となることになりますが、手続きの複雑化、相続人数が増える等(一般的に、明治~昭和初期の家族は、子供(兄弟姉妹)が多い、甥姪にも相続権が発生する可能性が高い)の問題に備えるため、遺言を作成しておくべき場合といえます。
 
③財産の種類・量が多い場合(不動産が多数、証券、預貯金、ゴルフ会員権など財産が分散している場合)
当然少しでも多く遺産を相続したいと考える相続人間で紛争になることが予想されますので、遺言を作成しておく場合といえます。
また、必ずしも、相続人が全ての遺産を見つけ出せる訳ではありませんし、調査のために様々な書類の準備が必要なため、容易には遺産調査ができません。被相続人にとってみれば、自分の財産のことですからどこに何があるかわかっているでしょうし、簡単に確認することもできるでしょうから、生前に相続人のために財産を整理しておく意味でも遺言書を書いておくべきといえます。
 
④事業主の方で、特定の人に事業を継承させたい場合
複数の相続人がいる場合、事業は相続人で分割されてしまい、事業を維持、存続することが困難になります。事業を特定の人に承継させたいのであれば、遺言書で承継人を指名しておいた方が良いでしょう。
 
⑤既に相続人間が不和な場合
被相続人が遺言書で分け方を決めておくべき場合といえます。
 
⑥相続すべき親族がいない場合
相続人がいない場合、遺産は最終的には国庫に帰属してしまいます。国に帰属される前に、生前お世話になった人にあげたい、慈善団体等に寄付したいとお考えであれば遺言書を作成しておきましょう。
 
⑦再婚した夫婦の場合 
離婚後に再婚した方で、前配偶者との間に子供がいる方は、現在の配偶者(及び子)とともに前配偶者との間の子も相続人になるため、相続争いになる可能性が高いことから遺言を作成しておくべき場合といえます。
 
⑧婚姻届を出していない夫婦(内縁の配偶者)の場合
婚姻届を出していない夫婦、いわゆる「事実婚(内縁の配偶者)」には、法律上、相続権はありません。遺言により、事実上の配偶者である相手に贈与しておくべきでしょう。
 
⑨その他、法定相続人以外の者に財産を残したい場合
 
⑩法定相続人に相続させたくない場合
何らかの理由でどうしても一部の相続人に相続させたくない場合(放蕩息子、既に破綻している配偶者等)には、遺言により対策をしておく必要があります。

<遺言を書いてみましょう>

遺言の作り方には法律上種類がありますが、主に自分で書く「自筆証書遺言」と、公証人役場で作成する「公正証書遺言」に分かれます。
自筆証書遺言は、いつでもどこでも思ったときに作成できて法律上の制約も少なく、費用もかかりませんので、気軽に書いてみることができます。自筆で書いて日付を書き、署名捺印するだけです。
ただし、遺言の作成の仕方は民法に定めがあり、どんな形式の遺言でも有効というわけではありません。法律で定められた形式で作成されていなければ、その遺言は法律上無効となってしまいます。
せっかく作った遺言に法律上意味が無いと困りますので、自分が作った遺言が法律上有効なのか、こんな内容の遺言にしたいがどんな言葉で書けばいいのかなど自分ではよくわからない場合には、弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。

<遺言に書いてもいいこと>

遺言は民法などの法律で定められた事項についてだけ法的な効力を持ちます。形式的に有効な遺言であっても、すべて法的効力があるとは限りません。
たとえば、「家族仲良く暮らしなさい。1日に1度は私のことを思い出し、お墓参りには毎年家族皆で来るように。」と遺言書(「世上遺言」という)に書いても、遺言者の希望を伝えるという意味はありますが、法律上の意味はもちません。
ただし、遺言内容の一部にこのような効力のない遺言が書かれていたとしても、その部分について法的効力がないだけで、それによって遺言全体が無効になることはありません。
遺言事項は、民法ほかの法律で定められた次の事項に限られます。これら以外の事項については、遺言としての法的効力を生じません。
 
●相続財産に関すること
 1 相続人の相続分の指定又は指定の委託(902)
 2 遺産分割方法の指定又は指定の委託(908)
 3 推定相続人の廃除又は廃除の取消し(893・894)
 4 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言
 5 特別受益の持戻し免除(903③)
 6 遺産分割の禁止(908)
 7 遺贈の減殺方法の指定(1034但書)
 8 相続人相互間
 
●相続財産の処分に関すること
 1 遺贈
 2 財団法人の設立(寄付行為)(41②)
 3 信託の設定(信託法2)
 
●身分に関すること
 1 子の認知(781②)
 2 未成年後見人、未成年後見監督人の指定(829・848)
 
●遺言の執行に関すること
 1 遺言執行者の指定又は指定の委託(1006)
 2 遺言執行者の職務内容の指定(1017①但書・1017①但書)
 
●その他のこと
 1 祭祀承継者の指定(897①但書)
 2 負担付遺贈遺言の取消(1022)
 3 生命保険金の受取人の指定・変更

<未成年者の遺言について>

遺言はあくまでも法的な効力を期待して書くものですから、遺言者が遺言をするときには、遺言の法的な効力(意味内容)を理解し、判断することができる能力(遺言能力)を有していなければなりません。
高齢になって判断能力がなくなってからした遺言は、相続人の間で、有効無効の争いが起きないともかぎりません。したがって、遺言は、元気なうちに備えとして作成しておくべきです。
なお、精神上の障害により判断能力がないとして、家庭裁判所から後見開始の審判がされた方でも、遺言するときに意思能力(判断能力)さえあれば有効な遺言をすることができます。
 
【遺言能力】
未成年者でも15歳になっていれば親の同意がなくとも遺言することができます(民961)。成年被後見人でも、遺言するときに一時的に正常な判断ができる状態に戻っているときであれば遺言できます。ただし、この場合は二人以上の医師の立会いが必要です(民973)。被保佐人、被補助人は、保佐人・補助人の同意がなくても、単独で遺言することができます。

<遺言の種類>

遺言は法律で定められた形式で作成されていなければ、法律上は、無効です。
民法960条 「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」
では民法にはどのようは方式が定められているのでしょうか。
遺言の方式には普通方式と特別方式とがあります。
 
【普通方式】
 ①自筆証書遺言
 ②公正証書遺言
 ③秘密証書遺言
 
【特別方式】
 ①危急時遺言
 ②隔絶地遺言
 
※特別方式は、死期が迫った方が遺言をしたいが、普通方式では間に合わないといった場合(臨終時の遺言)や伝染病で隔離されている人などに認められた特別な遺言方式です。普段はあまり利用されることはありません。
 
【普通方式遺言の長所と短所】
それぞれに一長一短がありますが、当事務所では、原則としてメリットの多い公正証書遺言の作成をお勧めしております。判断がつかない場合には、専門家に相談されることをお勧めします。


長所

短所
自筆証書遺言 ①誰でも一人で、いつでも簡単に作成できる。
②費用がほとんどかからない(紙とペンと印鑑は必要)。
③証人・立会人の必要がない。
④遺言をしたことを誰にも秘密にしておける。
①遺言書を紛失したり、死後に発見されないおそれがある。
②遺言内容に不満な相続人に遺言を隠される恐れがある。
③第三者によって変造・偽造されるおそれがある。
④家庭裁判所で検認手続きが必要。
⑤方式に不備があり、無効になるおそれがある。
公正証書遺言 ①公証人が作成してくれるので、方式不備で無効になることはない。
②原本を公証人が保管するので紛失や偽造・変造の恐れが無い。
③文字の書けない人も遺言できる。
④検認手続きが不要。
①遺言書の存在と内容を秘密にしておけない(証人・公証人には知られる)。
②遺産額に応じて公証人の手数料が必要となり、手続が面倒。
③証人二人以上の立会いが必要。
秘密証書遺言 ①遺言書の内容の秘密を守れる。
②代筆や、ワ-プロ書きも構わない。
③偽造・変造の恐れが無い。
④署名・押印ができれば文字が書けない人も遺言できる。
①紛失したり、隠されたりする危険がある。
②作成に若干の費用と手間がかかる。
③執行にあたって検認手続きが必要。
④証人二人以上が必要。

<自筆証書遺言の書き方>

自筆証書遺言を書く場合、次の事項を守る必要があります。
 
①全文を自分で書くこと(ワープロやパソコンでプリントアウトしたもの、ビデオ、レコーダーによるものは無効)。
②作成した日付を記載すること(「平成○年○月吉日」などは無効)
③氏名を自署し、印を押すこと(印は実印である必要はありません)。
④訂正する場合は、該当する部分を訂正した上で押印し、欄外に訂正の内容を付記すること。
 
自筆証書遺言は、厳格な決まりがありますので、せっかく作成した遺言が無効とならないよう、注意することが必要です。専門家に相談されることをおすすめします。
また、公正証書遺言と異なり、自筆証書遺言は、相続開始後、家庭裁判所で検認の手続が必要です。

<公正証書遺言とは>

公正証書遺言の作成は、遺言者が、証人2名の立ち会いのもとで、公証人に対し、遺言の趣旨を口述(筆談・手話通訳も可)します。
公証人は、その口述の内容を筆記し、それを遺言者と証人2人に閲覧または読み聞かせたうえで、その内容に間違いがないことを確認し、遺言者、証人2人及び公証人が署名押印します。
公正証書遺言は、公証人が原本を保管するので紛失の恐れがなく、自筆証書遺言に起こりがちな方式や内容の不備という問題はなく、遺言書の原本は公証役場で保管されるため破棄・変造のおそれはなく、家庭裁判所での検認手続も不要です。
また、公正証書遺言は、日本公証人連合会が運営する検索システムに登録されますので、全国どこの公証役場でも検索でき、遺言公正証書の有無は容易に確認できるようになっています。
以上から、弁護士などの専門家は、公正証書遺言の作成を勧めることが通常です。
 
公正証書遺言は、公証役場で作成するのが原則ですが、公証役場に出向くのが困難なときは公証人が自宅や病院に出張を依頼することも可能です。
証人については、将来相続人となる人、受遺者、これらの配偶者、直系血族、未成年者などは証人になれません(民法974条)。
遺言者が証人を用意できないときは、遺言の作成を相談した弁護士が証人となることもありますし、公証人に相談すれば信頼のおける人を紹介してくれる場合もあります。

<秘密証書遺言の作成>

秘密証書遺言の作成方法は以下のとおりです。
①遺言者を書いて署名押印する。
②遺言書を封筒に入れて同じ印で封印する。
③公証人と二人以上の証人の前に提出する。
④自分の遺言であることを公証人と証人に申し述べる。
 
公証人は、封筒に張り付けた封紙に日付と遺言者が述べた内容を書いた後、遺言者、証人とともに署名・押印します。
公正証書遺言とは異なり、秘密証書遺言は遺言者が保管します。 なお、自筆証書遺言と異なり、パソコンで作成したもののプリントアウト、点字などでもよいことになっています。
秘密証書遺言や自筆証書遺言は遺言の内容に公証人が関与しないため、せっかく遺言を作成しても無効とされることもありますので、公正証書遺言をおすすめします。

<目の不自由な方の遺言>

目が不自由で、文字を書くことが出来ない方が遺言を作成したい場合。
遺言の方法には、上記のとおり、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言がありますが、自筆証書遺言は全文を自分で書く必要がありますし、秘密証書遺言は代筆が可能ですが署名押印をしなければなりませんので、公正証書遺言によることをおすすめします。
公正証書遺言の場合、遺言の内容を証人2名の立会いのもと、公証人に口頭で伝えればよく、公証人が公正証書を読み上げるのを聞いて内容を確認し、遺言者が文字が書けない場合、公証人がその理由を記載して、代わって署名してもらうことができます。

<言葉が不自由な方の遺言>

言葉が不自由な方は、口頭で遺言内容を述べることができないので、公正証書遺言はできないとされてきましたが、1999年の民法改正で、遺言の内容を口頭で述べる代わりに通訳者の通訳又は自書でよいをされたため、言葉の不自由な方も公正証書遺言でできるようになりました。

<「遺贈」と「相続させる遺言」の違い>

遺言を作成するにあたり、「遺贈」と「相続させる遺言」にはどのような違いがあるのでしょうか。 まず、遺贈は相続人、相続人以外のいずれに対してもできますが、相続させる遺言は相続人に対してしかできません。
次に、遺贈は民法に規定がありますが、相続させる遺言は規定がありません。
1991年の最高裁判決は、相続させる遺言も遺贈と同様、遺言者が死亡して遺言の効力が生じると同時に対象財産の権利移転が生じるとしています。
同判決は、受取人が相続人の場合、遺言の文言から見て遺贈であることが明らかであるか、遺贈と解釈すべき特別の事情が無い限り、相続させる遺言と見るべきと判断しました。
不動産の遺贈の場合、以下の点で受取人に不利になります。
 
①遺贈による所有権移転登記は単独では申請できず、他の相続人又は遺言執行者の協力が必要になる。
②対象財産が借地権・借家権の場合、遺贈による権利移転については貸主の承諾が必要。
③対象財産が農地の場合、権利取得に農業委員会又は都道府県知事の許可が必要になる。
 
※以前は登記のときに支払う登録免許税が遺贈の場合は相続させる遺言の場合の5倍とされていましたが、現在は同率とされており、この点で有利不利はありません。

<遺言を取り消したいとき>

一度遺言を作ったとしても、人の心は変わります。遺言者が生きている間は、いつでも遺言の全部または一部を取り消し(正しくは「撤回」)たり、変更することができます。
ただ、民法上は有効に遺言を撤回したり変えたりするためには「遺言の方式」に従ってしなければならないと規定されています(民法1022条)。遺言の撤回、変更については、民法上、規定が置かれています。
 
①遺言者が新しい遺言で前の遺言を撤回したとき(民法1022条)
②前の遺言の内容と後の遺言の内容とが抵触するとき(民法1023条1項) 遺言書を作成後、前の遺言と内容の矛盾する別の遺言を作成すれば、前の遺言は後の遺言と抵触する範囲で撤回したものとみなされます。
遺言が複数ある場合、日付が新しいものが優先します。ただし、日付の新しいものが優先するといっても、日付の古い遺言がすべて無効になるわけではありません。内容がくい違う部分についてのみ、新しい遺言の内容が優先するということです。新しい遺言には書かれていないその他の部分については、古い遺言も有効です。
③遺言と遺言後の行為が抵触するとき(民法1023条2項)
後日、別の遺言を書かなくても、前の遺言の内容となっている物を売ったり贈与したりすれば(「遺言後の生前処分」)、遺言は撤回したものとみなされます。
④遺言者が故意に遺言書や遺贈の目的物を破棄したとき(民法1024条)
遺言を故意に(わざと)破ってしまえば、その遺言を撤回したものとみなされます。破らなくても塗りつぶしたり抹消したりすればそれも「破棄」したことになります。
 
遺言内容の撤回方法としては、①新たな遺言により、前の遺言を撤回する、②新たな遺言により、元の遺言に抵触する遺言をする、③遺言と抵触する財産処分をする、④遺言書を破棄する、の4つがあることになります。
遺言を作成しても、簡単に撤回したり内容を変更したりすることができることがお解かりでしょう。この意味でもまずは遺言を作成してみることをお勧めします。

<遺言の保管方法>

上記のとおり、遺言は書面ですることが要求されていますが、遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人らに見つけてもらわなければなりません。発見してもらえなければ折角作成した遺言は何の効果もありません。
従って、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり勝手に書き換えられたりする心配の無い場所に保管しておく必要があります。
身の回りでそのような場所を探してみましょう。
そのような場所が見つからない場合は、以下の記述を参考にしてください。
 
①公正証書遺言の場合
公正証書による遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管され、遺言者には公正証書の正本と謄本が交付されます。従って、相続人らにどこの公証役場に遺言書を作成してあると伝えておけば足ります。万が一、正本や謄本を紛失しても再発行が可能です。
遺言書の存在が明らかになっても、相続人らが公証役場を訪れて遺言書の内容を教えて欲しいと要求したり、閲覧を請求しても、公証人がこれに応じることはありませんので、遺言の内容の秘密を保てます。もっともお勧めの方法といえます。
 
②弁護士に頼む場合
自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成した場合、遺言書作成の際にアドバイスを受けた弁護士に保管を頼むという方法があります。
弁護士は守秘義務を負っており、職務上知りえた事実を第三者に洩らすことは禁止されています。従って、遺言書の存在すら秘密にしておくことも可能です。
 
③第三者に頼む場合
自筆証書遺言の場合、配偶者をはじめとする親族に預けることも多いようです。
しかし、法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には、隠匿、改ざんの恐れがあり、後に紛争の種になりかねませんので、遺産に何の利害関係のない公正な第三者に保管してもらうようにしましょう。遺言で遺言執行者を定めた場合には、遺言執行者に預けておくのが適当です。

<遺言書を見つけたとき>

遺言書を見つけても、封印のあるもの(遺言書が封入されて押印されているもの)は、勝手に開封してはいけません。速やかに、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ遺言書を提出し、検認の申立てをしなければなりません。 遺言は、相続人らの身分関係や財産関係に大きな影響を与えることから、その内容の確認には、厳重な手続を取ることが求められているのです。
検認は、遺言書の偽造・変造を防ぎ、内容を確実に保存しておくための手続です。従って、原本を公証人が保管し、偽造などの恐れがない公正証書遺言の場合は検認の必要はありません。
遺言書を見つけて勝手に開封してしまうと、後に紛争の種になるばかりか(偽造・変造したのではないかと疑われることがある)、後述するように過料の制裁を受ける可能性がありますのでご注意ください。
また遺言書が2通以上発見されたときは、効力は後の日付のものが優先しますが、開封と検認の手続は全てについてしなければなりません。
 
(開封の手続)
封印のある遺言書は、家庭裁判所で全ての相続人又はその代理人が立ち会ってするのでなければ開封できません(民法1004条3項)。封印の無い遺言書はこのような手続は必要ありません(但し、後述する検認の手続は必要です)。
 
(検認の手続)
公正証書遺言以外の遺言書は、家庭裁判所に遺言書を提出して「検認」という手続を受けなければなりません。
 
民法1004条1項:遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞無く、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2項:前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
 
検認手続は、遺言書の偽造変造を防ぎ、遺言書を確実に保管するために行う手続です。相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状,加除訂正の状態、日付、署名・印、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。 なお、検認手続は、遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。検認手続を経たからといって、その遺言が有効なものと決まるわけではありません。逆に検認手続を経なかったからといって有効な遺言書が無効になるものでもありません。
(検認手続を経ないで開封したり、遺言内容を実現する行為をした場合) 民法は、5万円以下の過料に処すことを定めています。(民法1005条)

<公正証書遺言が存在するどうか、わからないとき>

被相続人が、遺言の存在や場所を相続人に知らせずに死亡した場合には、相続人は、被相続人の遺言の有無やその保管場所を調査する必要があります。
自筆証書遺言については、相続人が遺言を見つけ出さなければならず、相続人にとっては、そもそも遺言が存在するかどうかがわからない場合がほとんどですので、探索が容易でないことも多いのですが、公正証書遺言については、公証人が作成後、正本及び謄本を遺言者に交付し、原本は公証人役場に保管されますので、以下に述べる公正証書遺言検索システムが利用でき、その存否の確認が容易になっています。
公正証書遺言については、公証人は、昭和64年1月1日以後、公正証書で遺言をされた嘱託人の氏名、生年月日、遺言公正証書作成年月日等(遺言の内容は含みません。)を、公証人連合会に報告し、連合会では、これらの情報をデータベース化して、全国の公証人が利用できるようにしています。
従って、公証人役場での遺言検索システムを利用することにより、以下のような手順で被相続人の遺言の有無を照会することができます。なお、検索はどこの公証人役場からでも依頼できます。
なお、存否の照会請求・閲覧・謄本請求については、遺言者生前中は、遺言者本人しかできず、推定相続人でも請求はできません。遺言者死亡後も、請求できるのは、法定相続人、受遺者・遺言執行者など利害関係人に限られます。
 
(検索、照会の具体的手順)
①除籍謄本、戸籍謄本等、被相続人が死亡したこと、及び照会者が相続人であることを証明する資料、免許証等の本人確認資料を準備します。
 
②これらの資料を公証人役場に持参して、遺言の検索、照会手続を行います(公証人役場はどの公証人役場でもかまいません)。
 
③手続後に、公証人が、日本公証人連合会事務局に対して、被相続人の氏名や生年月日等の情報によって、公正証書遺言の有無、保管場所を照会します。
 
④依頼を受けた日本公証人連合会事務局は、検索を行い、その結果を公証人に対して回答します。
 
⑤公証人は、照会者に対し、公正証書遺言の有無とその保管場所となっている公証人役場を伝えます。
 
⑥公正証書遺言が存在する旨の回答を受けた場合、相続人は、必要に応じ、公正証書遺言が現実に保管されている公証人役場に対して遺言書の謄本交付手続を行います。

<遺言執行者とは>

遺言執行者とは、遺言者が亡くなった後、遺言の内容を実現する事務を行う者をいいます。遺言により指定されたり、遺言により指定を委託された人による指定により決まります。
未成年者と破産者以外は誰でも遺言執行者になることができます。
遺言者は、遺贈や相続させる遺言により遺産を取得させる人を遺言執行者に指定することができます。 遺言執行者は、就任すると、遺言書の検認の申立て、遺産目録の作成、婚姻外の子を認知する遺言の場合、就任後10日以内に戸籍届出を行わなければなりません。
また推定相続人廃除やその取消しの遺言の場合、速やかに家庭裁判所に申立てを行わなければなりません。
遺言執行者は、遺言に報酬の定めがあれば遺言の内容の報酬を受けることができ、定めが無い場合は、家庭裁判所に報酬を決めてもらうことができます。

<遺言執行者を選任すべき場合>

法律により遺言執行者が遺言の執行をしなければならないと定められている事項があります。
 
①認知(遺言者が遺言によって認知をした場合。遺言執行者は、その就職の日から10日以内に、認知に関する遺言の謄本を添付して、届出をしなければなりません(民法781条2項・戸籍法64条)。
 
②相続人の廃除(被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示した場合。遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく家庭裁判所に廃除の請求をしなければなりません(民法893条前段)。
 
③相続人の廃除の取消し(被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思表示を取り消したとき。遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく家庭裁判所に廃除の取消しをの請求をしなければなりません(民法894条2項・893条前段)。

<遺言に記載された財産受取人が先に死亡した場合>

遺言で財産の受け取りを指定されていた相続人が遺言者より先に死亡したときについては、民法に規定があり、遺贈の効力は生じないとされています。
相続させる遺言の場合、遺贈の規定が適用されて無効となるのか、代襲相続の規定が適用されて無くなった相続人の子が相続するのか、裁判上争いがあり、現状は明確な結論が出ているわけではありません。
従って、公正証書遺言の場合、相続人が遺言者より先に亡くなる可能性がある場合は、実務では、そのような場合に財産を誰に相続させ、又は遺贈するのか明記するようにすることもあるようです。
このような遺言を「予備的遺言」といいます。
自筆証書遺言の場合も、予備的遺言をしておくことをおすすめします。

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