犯罪被害者
犯罪被害に遭われた場合、精神的ショックが大きいなかで捜査や刑事裁判、加害者からの謝罪・被害弁償への対応など、様々な法的手続に対応しなければならないことになります。また、被害者の方には、事件の真相を知りたい、加害者に謝罪・被害弁償をしてほしい、経済的な支援を受けたい、マスコミの取材を何とかしてほしい、など様々な希望があると思います。
平成16年に「犯罪被害者基本法」が成立し、従来認められていた事件記録の閲覧・謄写(記録を見たり,コピーをとったりすること)、意見陳述(刑事裁判や少年審判の中で意見を述べること)、給付金の支給(加害者が被害弁償をしてくれない場合国から給付金を受け取ること)などに加え、一定の犯罪については被害者が刑事裁判に参加できる制度や、被害者が少年審判を傍聴できる制度もできました。
被害者の方のご希望・感情を尊重し、何をしたいのか、何ができるのか、下記のようなご相談に丁寧に応じます。
刑事告訴を考えている。
刑事裁判・少年審判手続はどのように進んでいくのか。
刑事裁判・少年審判手続が始まったが、何が行われているのか知りたい。
刑事裁判手続・少年審判手続で自分の意見を聞いてもらいたい。
事件当時何があったかを知りたいが、どのような手段があるか。
加害者の弁護人・付添人から示談を求められているが,どのように対応すればよいか。
加害者に被害弁償をしてもらいたい。
加害者から被害弁償を受けられない場合、国から経済的援助を受けることはできないか。
加害者の出所の時期や出所後の生活状況等を知りたい。
被害者参加制度
一定の犯罪被害者が、裁判に出席して被告人(加害者)に質問するなど、裁判に直接参加できる制度があります。
被害者参加制度は、被害者本人、法定代理人(未成年者の両親など)、 犯罪被害者の配偶者や直系親族、兄弟姉妹等が利用することができます。
下記の犯罪行為と、それらを含む他の犯罪及び未遂罪までが対象となります。 ・殺人、傷害などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
・強制わいせつ、強姦などの罪
・自動車運転過失致死傷などの罪
・逮捕および監禁の罪
・略取、誘拐、人身売買の罪
※被害者参加人
裁判所から裁判への参加を許された犯罪被害者などのことをいいます。被害者参加人は裁判で以下のようなことができます。
公判期日に出席すること
検察官の権利行使に関し、意見を述べ、説明を受けること
証人に尋問すること
被告人(加害者)に質問すること
事実関係や法律の適用について意見を述べること
被害者参加人は、上記の行為を弁護士に委託することができます。
損害賠償命令制度
殺人、傷害などの一定の刑事事件を担当した裁判所が、有罪の言渡しをした後、引き続き損害賠償請求についての審理も行い、加害者に損害の賠償を命じることができる制度が、損害賠償命令制度です。
従来この損害賠償請求を行うには、被害者自身が刑事裁判とは別に民事裁判を起こすしかありませんでしたので、原告となる被害者が刑事裁判の記録を写すなどして訴状を作成しなければならず、負担が重いものでした。また、刑事裁判所とは別の民事裁判所が独自に証拠を調べて改めて審理をするため、時間がかかり過ぎるという問題があったのです。
下記の犯罪行為が対象となります。
殺人、渉外などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
強制わいせつ、強姦などの罪
逮捕及び監禁の罪
※損害賠償命令制度について
被告人に対して有罪判決があった場合,直ちに刑事損害賠償命令事件の審理が開始されます。
刑事損害賠償命令事件は,原則として,4回以内の期日で審理を終えます。
刑事事件を担当した裁判所が刑事記録を職権で取り調べるなど,被害者等による被害事実の立証が容易になります。
刑事損害賠償命令事件の裁判に対して異議の申立てがあった場合などは,通常の民事訴訟手続に移行します。