セクハラについて
セクハラとは「他の者を不快にさせる職場における性的言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的言動」との定義があります。簡単に言えば「相手方の意に反する不快な性的言動」のことです。わいせつ行為や卑猥な言動はもちろんのこと、必要もないのに上司が部下の女性に頻繁にメールする、お酌を強要する、飲み会で男性上司の隣に座ることを強要する、子供はまだかとしつこく聞く、成人向け雑誌をことさら見えるように机に広げておくというようなことなどもセクハラになり得ます。
使用者は雇用契約上の義務として、従業員に対して良好な職場環境を提供すべき義務を負っており、職場におけるセクハラを放置した使用者は、被害者である従業員に対して債務不履行ないし不法行為の責任を負うことになります。
1999年4月に施行された男女雇用期間均等法によって、民間企業の事業主には職場で女性労働者に対して行われるセクハラを防止する「義務」が課され、これを怠った場合には男女雇用均等法違反として、都道府県労働局長による行政指導の対象とされます。
また公務員についても人事院規則でセクハラ防止の責務を各省庁に負わせ、違反した場合には懲戒処分があり得ることとされています。
これを受けて、企業や大学ではセクハラ防止を内容とする就業規則やガイドラインなどを策定して、セクハラ対策を強化することとなりました。最近では各地の弁護士会でセクハラ防止規定や相談窓口を設けています。
セクハラと企業責任
セクハラを直接行った者が不法行為責任を負うのは当然ですが、判例では使用者には職場環境を良好に保つべき義務があることを根拠に、企業にも使用者責任を認めています(三重セクハラ事件、金沢セクハラ事件)。 またセクハラについては高額の慰謝料を認める判決も出されています。
このように、徐々に社会全体でその防止のための取り組みが進められているものの、未だにセクハラ・パワハラ・昇進差別は後を絶たないのが現状です。なかには会社に上司のセクハラ・パワハラの相談をしただけで不当な配転や解雇をされたという事例もあります。
セクハラ・パワハラ・昇進差別は立派な不法行為です。我慢する必要はありませんので、一度専門家である弁護士に相談してみて下さい。
責任追及
セクハラを受けた場合は実際にセクハラを行った者とその使用者に対して損害賠償の請求ができます。裁判までしなくとも示談交渉や調停・ADRなどを利用して迅速な解決を図ることも可能です。ただ相手が争う場合は最終的には裁判になります。その場合は当然証拠によって判断されます。
1回限りのセクハラの場合は難しいかもしれませんが、携帯電話の録音機能を使ってセクハラの言動を録音する、メモを残す、日記に書いておくなど証拠を残しておくことが重要になります。相手に内緒で会話を録音することは正当な理由がある限り違法ではありません。