お知らせ

2023.07.31

不祥事対応について


1.最近、企業の不祥事について、不祥事そのものも問題ですが、不祥事発覚後の対応により、一層炎上をしたという案件が続いております。

 

2.まず、問題が発生した時に弁護士が一番最初に行うことは事実確認です。

ここで、不祥事を起こした企業から、事実関係やそれについて社長や役員がどこまで知っていたかといった認識(以下「事実関係等」といいます。)をしっかりと確認する必要があります。ここでしっかりと事実関係等を確認できないと、不祥事対応が後手後手となり、あとからより一層大きな問題が湧き上がってくることもあります。よく、記者会見で「私は知りませんでした。」と話した直後に、社長に報告がなされていたことを裏付ける証拠が出てくることもありますが、そうなると、隠ぺい体質が変わっていないと判断され、下手をすると再起不能の状態となります。弁護士の方でも企業との信頼関係を築いたり、しっかりと事実関係を把握するヒアリング能力が必要となりますし、企業の側にも腹を括って全部話してもらう必要があります。

 

3.次に、記者会見やプレスリリースの時期や内容を検討することになります。

公的機関による公表が見込まれる場合は、公的機関による公表前に、公的機関の公表内容を踏まえた企業側の言い分(公表内容のような行為に至ってしまった内部の問題についての分析)やお詫びの言葉、今後の対応策(例えば代表取締役の辞任、第三者委員会の設置、不正受給の場合の返金など)を検討することになります。

公的機関による公表が見込まれない場合にも、マスコミを通じて世間が知りたがる質問については、矛盾や違和感なく回答できるよう何度も想定問答の打ち合わせをすることになります。

 

4.記者会見での一番のポイントは、「しゃべりすぎないこと」です。

記者会見に対応する前には、想定問答の打ち合わせなどもかなり念入りに行いますが、企業を守ろうという思いなどから、言葉が過ぎてしまうことも多々見受けられます(マスコミも企業を感情的にさせるために質問をしているのではないかと思うようなこともあります。)。

想定問答の打ち合わせ時には、回答が世間にどのように受け取られるかという視点は重視します。事実は何かということは重要で、それについて虚偽の説明をすることはあり得ませんが、事実を事実として言いっぱなしでは伝わりません。なぜそのような事態が発生してしまったのかをしっかりと伝える一方で、何か隠しているとか、言い訳、さらには開き直りなどと感じられたりすれば、その記者会見やプレスリリースは失敗ということになります。

 

5.その後は、弁護士に窓口を一本化し、企業には組織の立て直しに専念してもらうことになりますが、そのようなかなりボリュームの大きな内容を、短時間で行わなければならないため、特に初動が大事ですし、顧問契約など信頼できる弁護士を普段から探しておくことが重要になってきます。